
来年で没後10年。おいしいレシピを追い求め、
「自分を変える」に挑戦し続けた足跡を振り返る。
講師:中原一歩(ノンフィクションライター。『小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る』著者)
ワンショルダーの黒いエプロンがカツ代さんのトレードマークだった(写真提供・文藝春秋)
小林カツ代さん(1937〜2014)は昭和から平成にかけて活躍した料理研究家です。これまでの家庭料理の「常識」とされていたことを次々と変え、「少ない材料×短時間でも美味しいものが作れる」ことをレシピの形で世に送り出し、子育てや仕事で多忙な女性を中心に圧倒的な支持を得ました。
著書はエッセイも含めて生涯に250冊、1万点以上のレシピを残したカツ代さんは全国区の人気者ですが、生まれも育ちも大阪の人です。生家は西区北堀江。美味しいもの好きの両親と共にミナミの名店に何度となく訪れた大の食いしん坊でしたが、結婚後、「初めて作った味噌汁」が惨憺たる結果になったことがカツ代さんの料理魂に火をつけ、そこから料理研究家への「大化け」がはじまります。
小林カツ代の料理本は、読者が手放さないから古本市場で買えない
講師は『小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る』ほか、料理人や名店について数々の著書のある中原一歩さん。『小林カツ代伝』は90年代後半、超売れっ子のカツ代さんに中原さんが電話で「ピースボートの年越しクルーズに、ノーギャラで黒豆を作って乗船客に振る舞ってほしい」とのものすごい依頼をするところから始まりますが、これがきっかけで、カツ代さんが亡くなるまで「戦友」のような関係が続きます。
気鋭のノンフィクションライターが間近で感じた、料理研究家・小林カツ代の凄さと知られざるエピソードをたっぷりとご堪能ください。
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生家のあった場所には大阪市立中央図書館が建っている。彼女の著書も150点以上所蔵 | 映画の帰りに母とよく通った千日前[純喫茶アメリカン]のビーフカツサンド | 大阪大空襲で被災し、堺市百舌鳥の「筒井家」に疎開し、小学校卒業まで百舌鳥に通学 |
「カツ代さんが天国に旅立って十年。時代も元号も私たちの生活も劇的に変化したけど、彼女の生み出したレシピは世代を超えて、今でも多くの人に愛され続けています。そんなレシピ発明の原動力となった舌は、母の笑(えみ)さんの手料理とミナミの名店の食べ歩きで二十歳までに完成されていました。カツ代さんの故郷、大阪でお話できるのは、すごくうれしいです。彼女が好きだったお店もたくさん紹介します」
(講師・中原一歩さん)
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中原一歩(なかはら・いっぽ) 1977年佐賀県生まれ。10代の時に博多のラーメン屋台で3年間働く。20代で南極や北朝鮮、アマゾンの源流、空爆下のアフガニスタン、イスラエル・パレスチナなどおよそ80カ国を放浪。この頃から執筆活動を始め、社会や政治、食について多くの雑誌やWEBに寄稿。著書に『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』(文春文庫)ほか『奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」』(朝日新書)、『最後の職人・池波正太郎が愛した近藤文夫』(講談社)、『マグロの最高峰』(NHK出版新書)、『「㐂寿司(きずし)」のすべて』(プレジデント社)など。最新刊は『寄せ場のグルメ』(潮出版社) |
◎講座当日、大阪府立中之島図書館のミュージアムショップでは、著書『小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る』(文春文庫)などを販売します。
【開催概要】 | |
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開催日 | 2023年12月16日(土) |
時間 | 11:00〜12:45(開場10:30) |
会場 | 大阪府立中之島図書館3階 多目的ホール |
講師 | 中原一歩 |
受講料 | 2,500円 |
定員 | 80名 ※会場のみの開催です(オンライン受講はありません) |
主催 | 大阪府立中之島図書館(指定管理者:ShoPro・長谷工・TRC共同事業体) |
企画協力 | ナカノシマ大学事務局(株式会社140B) |
【会場】 | |
大阪府立中之島図書館 |
ご参加までの 流れ |
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ナカノシマ大学応募規約
次回のナカノシマ大学講座
- ●2024年1月30日(火)18:00〜
- 「“知らんけど”全国化にみられるイマドキの大阪弁」
- 講師:金水敏(言語学者・放送大学大阪学習センター長・令和5年度文化功労者)
- 島民 最終号(2021年3月号)
「月刊島民のつくり方」 -
いきなりだけど「島民」は今回がラスト。これまでの歴史をふり返りつつ、これからも中之島を楽しむヒントをお教えします!