月刊島民ナカノシマ大学

セミナーレポート

第8回 2010年5月講座

「風雲急!? 幕末大坂の風景」

政変の中心にあった京都や江戸とは違う「幕末大坂の風景」をテーマにしたナカノシマ大学5月講座。講師は、『月刊島民』21号の幕末特集で監修・寄稿いただいた髙島幸次先生。流通を中心とする商都であった大坂の町人たちが激動の時代をどう受け止め、行動したのか。貴重な史料の数々を読み解きながら、髙島先生が当時の世相を明らかにしてくれた。

大坂の幕末を知る手掛かりとして先生がまず挙げたのは、後に倒幕の志士となる清河八郎が遺した旅行記『西遊草』。「天下の富地」らしい賑わいはあるが江戸ほどではないという感想や、「黄金の番人」のような豪商たちへの批判、また、天神祭の船渡御を難波橋から眺めた話などが綴られている。

政治とは距離を置いていた大坂にも、やがて不穏な空気は満ちてくる。不正を働く役人や利益を独占する商人への「天誅」を宣告する張り紙が次々と町中に貼り出され、実際に首がさらされることもあった。江戸時代末期の数年間は「紙切れ一枚で人々が右往左往させられた時代だった」という。

髙島先生が研究員を務める大阪天満宮には、こうした町の動向を伝える文書や絵図、幕府の内部文書に類するものなど、貴重な史料が多数残る。新選組を警戒して天神祭が中止になったり、「ええじゃないか」のような大騒ぎが流行したり。そこから浮かび上がるのは、小説やドラマに出てくる志士たちとは異なる視点から、政局の行く末を見守る町人たちの姿だった。

講師
高島先生
高島幸次
大阪大学招聘教授。大阪天満宮文化研究所研究員も兼務。専門は日本近世史。長く近江地方の歴史研究に携わったが、「地元である大阪に貢献していないのはい かがなものか」と言われて一念発起。大阪の歴史研究にも力を入れ、特に天神祭研究の第一人者であり、祭りのガイドを養成する「天神祭御伽(おとぎ)塾」も 開設している。また、講演も数多くこなし、年に数十回も登壇することから“なにわの語り部”の異名をとる。

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