セミナーレポート
第3回 2009年12月講座
「上方古典芸能を知る 〜講談vs浪曲〜」

一般の人はなかなかホンモノに接する機会がない上方古典芸能の世界。それを「講談vs浪曲」の対決形式で楽しんでもらおうと開かれたのが第3回ナカノシマ大学である。
講談が「水墨画」なら、浪曲は「極彩色の絵画」。
演ずるは、本誌連載でもおなじみの実力派講談師・旭堂南海さん、そして、浪曲界の将来を担う若手として期待される春野恵子さん。同じ話をネタにしながら、それぞれの解釈・持ち味を全開にした両者の対決、いや、見事なリレーは約100人の受講生を圧倒した。
講義では冒頭、二つの芸の違いが説明された。史実をもとにした物語を主に客観的な視点で語るのが講談。その長い読み物から場面を取り出し、節と三味 線伴奏で情感豊かに演出するのが浪曲。「講談が大きな水墨画とすれば、浪曲はその一部を拡大して、極彩色に着色したもの」とは南海さんの見事な解説であ る。
「書き下ろし新作」と「師匠の十八番」、緊迫感溢れる対決。
両者の演目は井原西鶴『好色五人女』より「樽屋おせん」。浪曲の大御所・春野百合子師匠の十八番だが、ふつう講談では扱われない話。つまり、南海さんはこの日のために書き下ろした新作、春野さんは自分の師匠の持ちネタで勝負するという緊張感あふれる対決となった。
先攻は南海さん。身持ちの固い商家の女中おせんが男に言い寄られてお伊勢参りに赴く道中記、商家の主人との仲を疑う女将のイジメに耐えかねて復讐へ と傾いていくさまを、時に声を張り、時に笑いを交え、緩急自在に語り尽くした。後を受けた春野さんは物語の後段をクローズアップ。女将とおせんを代わる代 わる演じつつ、女の情念の絡み合い、暗い炎を燃やす心の内を描いて見せた。
二人の競演は、講談と浪曲の違いを浮き上がらせるとともに、物語の奥行きの深さを見せてくれたのである。

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- 島民 最終号(2021年3月号) 「月刊島民のつくり方」
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いきなりだけど「島民」は今回がラスト。これまでの歴史をふり返りつつ、これからも中之島を楽しむヒントをお教えします!