月刊島民ナカノシマ大学

セミナーレポート

第18回 ナカノシマ大学東京講座

「アースダイバーで読み解く東京・大坂」

縄文時代の古地図を片手に街を歩き、土地が持つ記憶からその街がどうして現在の姿になったのかを解き明かす中沢新一先生の「アースダイバー。昨年4月に追手門学院で行われた「大阪アースダイバーへの道」での講義も記憶に新しいところだが、今回は大阪を飛び越え、東京の地で開催された。

出演者は現在、週刊現代で「大阪アースダイバー」を連載中の中沢新一先生、連載の水先案内人を務める釈徹宗先生、さらにパネリスト兼進行役として平松邦夫大阪市長。3人が奏でる絶妙なセッションにより、東京と大阪の土地の記憶から見た今が浮き彫りにされていった。

縄文時代の地形を比べてみると東京は5000年以上もの昔から、昨今パワースポットと呼ばれるような場所の位置が殆ど変化していない。ところが大阪は坐摩神社のような有名な神社でも時代によってどんどん場所が移り変わっていく。ただし「場所は変わっても信仰や祭りの形などの根本的な部分は変わらない。変わっていくものと、変わらないもの。両方が残っている大阪という都市の不思議さや深さ」。中沢先生が東京の次に大阪をアースダイビングの舞台に選んだ理由はここにあるのだと言う。

「大阪アースダイバー」の中で中沢先生がまず注目したのは、2つの「軸」である。さまざまな宗教的スポットが渾然一体となった生駒山地という南北のライン、そこから住吉大社など海岸線沿いの大きな神社に向かって延びる東西のライン。この対立関係こそが大阪の人々の精神構造に深く関わっており、それによって都市の活力を生み出してきたのだと指摘する。同時に「東京のように単一の軸だけにしてしまうことで、大阪の良いところが出なくなるのでは」と、これからの大阪のあり方に警鐘を鳴らした。

釈先生も、聖徳太子が四天王寺建立の折に「私と(対立している)物部守屋は一体です。一体であって二つに分かれているに過ぎない」と言ったエピソードを引き合いに、「多様なものや敵対しあうものを、包含しながら一つの世界を作り出すことが大阪の精神のベースにあるはず。ただ、近年明らかにそれが弱まってきている」と続けた。これを受けて平松市長も「世界の歴史から言えばほんの少しの期間で起きて来た貨幣価値や市場経済にみんな一辺倒。本当にそちらばかりに傾いて良いのだろうか」と感想を述べた。

土地の記憶として古代から受け継いできた柔軟性や多様性、包容力が、東京や大阪だけでなく日本全体に欠けつつあるのではないか、というのが3人に共通する問題意識。大阪が終わればまた別の土地へと続いていくアースダイビングが、日本のこれからのあり方を考える上で大きな一助となることは間違いないだろう。

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この碑、なんの碑?

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