ナカノシマ大学2024年7月講座 堺で江戸中期に生まれた怪談本『沙界怪談実記』にお連れします

先端産業と文化の都だった近世の堺に、
「何じゃそら!?」な怪談が続々と……
講 師:陸奥 賢(観光家、コモンズ・デザイナー、社会実験者)

表記された町名のほとんど変わっていない
- あ
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空告逆浪行話
明和9年(1772)夏の夜、錦ノ町農人町で大風が吹き、群衆は「津波だ!」と大パニックに。実は人をたぶらかす狐の仕業だった - い
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大小路浜無首死人
大小路の浜に上がった、上等な衣類を身に着けた首のない旅人の死骸。道頓堀で流行している狂言は、この首無し死体のことだった - う
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大蝦蟇霊懊人悩
甲斐町の木綿屋の主人は家に棲みついた大ガマに悩まされ、海に捨てた。その霊が主人に取り憑き、高熱を発し、うわごとを口走る……
「堺七墓巡り」も陸奥さんが案内する人気ツアーだ(堺区石津町の神石共同墓地にて)
「堺はかつて国際貿易港として栄えたけど、大坂夏の陣で焼かれて衰退した」なんて思っていませんか? いえ、幕府の全面支援で復興は早かったんです。そして線香、庖丁、銀細工、染色、昆布加工、酒造、和菓子、三味線と、今も続く産業がこの時期、一気に花開きます。環濠に囲まれた東西約800m、南北約3㎞のエリアは、大坂や京、江戸と並ぶ都会でした。そんな街ゆえに「謎めいた話」が次々生まれました。
250年前の怪談を伝えるのは、まち歩きのガイドで大人気の陸奥賢さん。暑い季節、涼しくなるお話にぜひご参加を!
〈講師・陸奥 賢さんからのメッセージ〉
現代語訳(天羽孔明)の『沙界怪談実記』序文
『沙界怪談実記』*は安永7年(1778)に「鉄方堂」という謎の人物が書いたもので、堺のさまざまな場所で起きた怪異な出来事が49編(序文を入れると50話)収録されています。近代の怪談は、「登場人物が禁忌(行ってはならぬ場所など)を犯したから呪われる」といったような「因果律的」な話が数多くありますが、『沙界〜』にはそういう「因果律」がほぼありません。唐突に、訳もなく、堺の街なかに奇妙不可思議な怪異が起こり、淡々と事の顛末が記述されます。それを考えると怪異は「自然」「日常」のものであり、近世の堺の人々は飄々と「怪異と共に生きていた」ようです。これらの怪談を元にして毎年、堺では「沙界妖怪芸術祭」**が行われ、その中で僕は「沙界怪談まち歩き」のガイドをしています。今回は、『沙界怪談実記』の怪異をご紹介し、その発生場所もお教えします。覚えてもらって夏の夜はぜひ、「沙界怪談まち歩き」をしてみてください。
*岸和田市流木町の称名寺の住職・出口神暁(1907~1985)が収集していた大阪の郷土資料(鬼洞文庫と呼ばれる)の中にあった
**主催/濱田さち・妖精妖怪アートサロン「イルミタイ」
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陸奥 賢(むつ・さとし) 観光家、コモンズ・デザイナー、社会実験者。1978年大阪・住吉生まれ、堺育ち。2007年に堺のコミュニティ・ツーリズム企画で地域活性化ビジネスプランSAKAI賞受賞(主催・堺商工会議所)。2008~13年大阪あそ歩(2012年に観光庁長官表彰受賞)プロデューサー。大阪七墓巡り復活プロジェクト、まわしよみ新聞(読売教育賞最優秀賞受賞)、死生観光トランプなどを手掛ける。2023年4月より福島県の「いわき時空散走」プロデューサー。著書に『まわしよみ新聞をつくろう!』(創元社) |
【開催概要】 | |
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開催日 | 2024年7月18日(木) |
時間 | 18:00〜19:30(開場17:30) |
会場 | 大阪府立中之島図書館3階 多目的ホール |
講師 | 陸奥 賢(観光家、コモンズ・デザイナー、社会実験者) |
受講料 | 2,000円(小学生以下1,000円) |
定員 | 60名 ※会場のみの開催です(オンライン受講はありません) |
主催 | 大阪府立中之島図書館(指定管理者:ShoPro・長谷工・TRC共同事業体) |
企画協力 | ナカノシマ大学事務局(株式会社140B) |
【会場】 | |
大阪府立中之島図書館 |
ご参加までの 流れ |
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次回のナカノシマ大学講座
- ●2024年8月9日(金)18:00〜
- 「『遊び場』は自分らで作るから面白い〜アメ村、FM、そして……」
- 講師:MARK’E(マーキー/DJ)
- 島民 最終号(2021年3月号)
「月刊島民のつくり方」 -
いきなりだけど「島民」は今回がラスト。これまでの歴史をふり返りつつ、これからも中之島を楽しむヒントをお教えします!