
日本の海運を変えた船乗り・工楽松右衛門が
飛躍したのは大坂の街だった
講 師:玉岡かおる(小説家。『天涯の船』『お家さん』『負けんとき〜ヴォーリズ満喜子の種まく日々』)
生まれも育ちも、そして現在も播州に住む作家の玉岡かおるさんは、これまでに日本の近代化に大きな役割を果たした女性(播州女)を主人公にした様々な小説で、多くの読者を獲得してきました。その玉岡さんが昨年、大阪に仕事場を移して上梓した『帆神(ほしん)〜北前船を馳せた男 工楽(くらく)松右衛門』は、船乗りであり画期的な帆の発明家であり、近世日本の産業に貢献した実業家でもある魅力的な「播州男」が主人公の物語。
高砂神社に建つ松右衛門の銅像
松右衛門は、10代の時に起こした事件のために故郷・高砂の地を去り、兵庫の港に出て地元の海運王である北風氏の下で働き、仕事を覚え、頭角を現していきます。やがて自らが船乗りの商人として独立を果たしますが、とくに大坂に舞台を移してからは、実業家としても縦横無尽の活躍を見せ、妻となる女性にも出会います。その後舞台は越後や函館、択捉島、鞆の浦など目まぐるしく移り変わっていきますが、松右衛門の飛躍には、水運の中心であり背後に巨大な河内木綿の生産地を抱える、大坂の存在を抜きには語れません。
船乗りにとって、また船にとって江戸後期の大坂というのはどんな街だったのか……?
『浪花百景』より。「天保山」と澪標(みおつくし)
自転車で大阪を走り回り、安治川では国土交通省に依頼して乗船し、松右衛門帆を張った船の速度(7ノット)も体感した作家ならではの大阪観をたっぷりとお楽しみください。
玉岡かおるさんのナカノシマ大学登壇は、自身の小説にも登場した廣岡浅子(NHK連続テレビ小説「あさが来た」主人公のモデル)の講義以来7年ぶり。お聴き逃しなく!
◎当日は、玉岡先生の著書『帆神〜北前船を馳せた男 工楽松右衛門』(新潮社)などを販売します。
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玉岡かおる(たまおか・かおる) 兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大学卒業。『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で1989年文壇デビュー。著書に『天涯の船』、『お家さん』(織田作之助賞)、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種まく日々』など、近現代に活躍した播州出身の女性を主人公とした物語で人気を博す。近年は『虹、つどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)、『天平の女帝 孝謙称徳』(新潮社)、『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)などスケールの大きな歴史小説で新たなファンを獲得。『帆神(ほしん)〜北前船を馳せた男 工楽(くらく)松右衛門』は2022年度、第41回新田次郎文学賞を受賞した。最新刊は、『春いちばん 賀川豊彦の妻ハルのはるかな旅路』(家の光協会) |
【開催概要】 | |
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開催日 | 2022年11月18日(金) |
時間 | 18:00〜19:30(開場17:30) |
会場 | 大阪府立中之島図書館3階 多目的ホール |
講師 | 玉岡かおる |
受講料 | 2,000円 |
定員 | 100名 ※会場のみの開催です(オンライン受講はありません) |
主催 | 大阪府立中之島図書館(指定管理者:ShoPro・長谷工・TRC共同事業体) |
企画協力 | ナカノシマ大学事務局(株式会社140B) |
【会場】 | |
大阪府立中之島図書館 |
ご参加までの 流れ |
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- 島民 最終号(2021年3月号)
「月刊島民のつくり方」 -
いきなりだけど「島民」は今回がラスト。これまでの歴史をふり返りつつ、これからも中之島を楽しむヒントをお教えします!